2005年12月15日号(第517号)

地方分権・地方財政の自立へ全力

「三位一体改革」について自治労が見解

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政府・与党は三位一体改革として、国庫補助金の削減・税源移譲・地方交付税の見直しを同時に実施するとしていた。今回、国庫補助金を四兆円削減し3兆円分を移譲することを決定した。地方自治体にとって予算編成や事業に大きな影響を与えることから、自治労は地方分権・地方財政の自立をめざす。

  1. 11月30日、国と地方の税財政改革(いわゆる「三位一体改革」)について政府・与党がようやく合意し、積み残されていた6542億円の国庫補助負担金削減を決定した。これで2006年度までに4兆円程度を上回る国庫補助負担金の削減と3兆円規模の税源移譲が実施されることになる。
  2. 主な合意内容は、
  1. 義務教育費国庫負担金は国庫負担制度を堅持するとしたうえで、小中学校を通じ国庫負担率を3分の1とし、8500億円を税源移譲する
  2. 社会保障では児童扶養手当、児童手当の国庫負担率を3分の1に引き下げ、施設介護給付費などの国庫補助金を廃止し、5290億円を税源移譲する
  3. 建設国債対象経費である施設費は廃止・減額分の五割の割合で税源移譲する
  4. 税源移譲は所得税から個人住民税への恒久措置として行い、2006年度は所得譲与税によって措置する

とした。

  1. 社会保障では自治労をはじめ地方関係団体が強く反対してきた生活保護費を対象外としたことは粘り強い取り組みの成果と評価できる。一方、児童扶養手当や児童手当の負担率の引き下げはナショナルミニマムの引き下げと地方への負担転嫁にすぎず、国庫補助負担金見直しの8割を福祉関係予算に割り当て、施設費も児童相談所や公立保育所等の福祉・医療関連施設整備費に集中したことは全体的な見直しの中でバランスを欠き問題である。
  2. 義務教育国庫負担金は国の負担率を引き下げただけであり、国と地方の責任や役割や理念は示されていない。こうした国の関与を残し、地方の裁量の拡大にならない見直しは地方分権改革の理念にはつながらず極めて遺憾である。一方、施設費の税源移譲は、建設国債対象経費は税源移譲できないとする財務省の主張に風穴を開け、補助金改革の本丸である公共事業関係補助負担金の地方移譲への足がかりとして評価できる。
  3. 所得税から個人住民税への税源移譲の税制上の制度設計は今後の課題として残されている。また、交付税の見直しは今後の予算編成を通じ具体的な調整を行うとしており、2006年度予算で地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源を総額で確保するとともに、一般財源化がサービスの水準低下につながらないよう、ナショナルミニマムや社会的規制を法令で定め市民にわかりやすく示し、地域での自治体の役割を再確立するための取り組みを強化する必要がある。
  4. 今回のいわゆる「三位一体改革」に地方側が改革案をまとめ、省庁と協議を重ねたことは分権改革の一つの到達点として評価できる。しかし、政府・与党は地方への負担転嫁と数字のつじつま合わせに終始し、分権のための税財源保障のあり方や国が果たす役割の根本的な議論は不十分であった。引き続き地方が求める改革に取り組むことを強く求める。
  5. 2006年度政府予算における地方財政計画の策定と2006年度政府予算編成が山場を迎える。わたしたちは住民の意向に沿った自治体運営が行える「地方分権・地方財政の自立」への改革を地方6団体や連合、公務労協と連携し2006年度政府予算要求に全力で取り組む。

2005年12月5日

全日本自治団体労働組合

町村職の賃金労働条件改善を

幹事会の活性化やセミナー開催を提起

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府本部町村職評議会は12月2日、第13回定期総会をホテルセントノーム京都で開催、5単組21人(うち女性5人)が出席した。

山田貴裕議長はあいさつで「三位一体改革で私たちを取り巻く環境はきびしい。人事院勧告で示された地域給は同一価値労働・同一賃金、職務給の原則に反するもので、導入阻止に向けた取り組みを進めなければならない。町村評として町村職全体の賃金労働条件と職場環境の改善を図る必要がある」と訴えた。来賓の谷口書記長は「公務員バッシングとともに地方財政の悪化で私たちは冬の時代を迎えている。合併問題や地域給与を全力でたたかおう」と激励した。

総会は経過報告、活動方針、役員選出を出席者全員で承認。活動方針では具体的な取り組みとして、幹事会の活性化や賃金セミナーの開催などを提起した。

役員体制は山田議長の再任をはじめ六人の幹事を選出した。

組織強化など新年度方針を承認

女性部、1年間の活動を写真で紹介

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府本部女性部は11月28日、ハートピア京都で第43回定期大会を開いた。8単組から22人の代議員と傍聴者が出席、2006年度の運動方針と役員体制を確認した。

はじめに長谷川かをり女性部長が「この1年間、10回の常任委員会と2回の単組代表者会議を開き、みんなで考え、行動してきた。変革期にこそ団結して私たちの生活を守らなければならない。今後もいろんなことにチャレンジし活動したい」とあいさつ。続いて来賓の木村幹雄府本部執行委員長と武田勝臣青年部長から連帯のあいさつを受けた。

経過報告の後、1年間の活動の写真をスクリーンで紹介し、出席者に理解を深めてもらった。運動方針では、女性部を組織するすべての単組からの常任委員選出や、役員2年任期を追求するなどの組織強化、学習会や交流会、反戦平和行動に積極的に取り組むことを提起。全議案が代議員全員の拍手で承認された。

新部長には、井手町職の中村育子さんが選任され、「みなさんのご協力のもと、楽しく活動していきたい」と、10人の常任委員で新年度を担う決意が披露された。

活動に参加し見識深めよう

青年部第39回大会、新部長に仁木さん

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府本部青年部は12月3日、第39回定期大会をビル・ホーコーで開催。10単組から29人の代議員が出席、来賓の谷口富士夫府本部書記長、皆川純子女性部副部長、小田嶋智昭中央本部青年部副部長から激励のあいさつを受けた後、活動経過報告、新年度運動方針と役員体制が原案どおり可決承認された。

武田勝臣青年部長は「春闘討論集会や沖縄平和行進などを通じて活動の報告や他府県の動きを知ることができ、大変勉強になった。みなさんも積極的に活動に参加し、見識・交流を深めてほしい」とあいさつ。代議員全員が熱心に耳を傾けていた。

運動方針では、反戦平和、組織体制の強化、北部と南部の連携強化などに努めることを再確認した。

新部長には井手町職の仁木崇さんが選任。「職員の新規採用削減、給与の見直しなど、我々を取り巻く環境は依然厳しいが、ともにがんばりましょう」と抱負を語り、新執行部がスタートした。

戦争のない平和な写真をつくろう

女性部・青年部が「8の日行動」

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12月8日、府本部女性部と青年部は、反戦平和の行動「8の日行動」に取り組んだ。12月8日は日本が太平洋戦争に突入した日。1941年の「12月8日を忘れない」を合言葉に、再び悲惨な戦争を繰り返さないための運動として全国でも行動が展開されている。

参加者30人は、夜6時半から1時間、四条河原町でビラとティッシュを配り、戦争のない平和な社会を訴えた。当日は自衛隊のイラク派兵延長が閣議決定され、マイクで日本を戦争のできる国にしようとする小泉内閣に抗議するメッセージを市民にアピールした。

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