新年明けましておめでとうございます。
昨年は私たち労働者にとって非常に厳しい年となりました。アメリカからの金融危機を発端に、日本経済が底をつき、非正規労働者の解雇、そして正規労働者の賃金カットを企業や自治体が実施をしてきました。
完全失業率が5%を超え、格差と貧困問題がますます大きくなり、国民一人一人が生活を切り詰めてきました。8月に行われた衆議院解散総選挙は、国民の怒りが頂点に達し、自公政権に対してノーを突きつけた、その結果であったと思います。
「政権交代」が流行語大賞に選ばれるぐらい、国民の関心が高まっていたわけで、民主党を中心とする連立政権に対しての期待の大きさがわかります。その鳩山連立政権が誕生し、4カ月になろうとしています。
この間、国民に見える政治をめざし、官僚主導ではなく政治家主導の、国民に見えるかたちで、今までにない政治が行われてきていますので、私たちも長い目で合従連衡(がっしょうれんこう)の無いように見守り、支持を行っていかなければなりません。
この連立政権の安定こそ、これまで進んでこなかった公務員制度改革や消防職員に対する団結権の付与など様々な事が急ピッチに進められてくるでしょう。
民主党中心の政権基盤を盤石としたものにするためには、今年7月の第22回参議院選挙での勝利が不可欠です。自治労は、比例区で組織内協力候補の「えさきたかし」さん必勝のため、組織の総力をあげましょう。
府本部は再建20年を節目に、各単組とより一層連携を取りながら、組織拡大と強化をめざし、また、組合員が安心して働ける職場づくりをすすめます。
本年も府本部に結集していただき、様々な活動に参加をしていただく事をお願いし、皆様が健康であることをお祈りしまして、年頭のごあいさつといたします。
昨年は「政権交代」が実現し、民主党を中心とする鳩山内閣が誕生した。今年は本格的に「日本が変わる、日本を変える」そんな年になると思われます。日本の未来について、福山哲郎参議院議員、えさきたかし参議院選挙自治労組織内協力予定候補、橋元信一執行委員長の3人に語っていただいた。
谷口 明けましておめでとうございます。まず、昨年を振り返っていただきたいと思います。
橋元 円高で経済が底をついた時に、夏の人勧に見られるように公務員の労働組合が攻撃されました。自民党が、国民、市民の目をそっちに向かせて支持率を上げようとしていたことが印象的です。結局、首相が3人も代わるということがあって、不信感が募った中での衆議院選挙。民主党が308議席をとって政権交代を果たしましたが、経済が2回目の底をついたとき最終的なしわ寄せはまた公務労働者に来ないか危惧しています。
福山 自治労の皆さんには全国で政権交代の選挙を応援していただき、京都でも6つの選挙区の候補者が全員当選するという大変うれしい結果になりました。自治労京都府本部の皆さんに、心から御礼申し上げます。
政権が代わって、京都の国会議員のうち、5人が内閣に入り、私も外務副大臣になりました。事業仕分けをはじめ、新たな予算編成がスタートし、外務省でも、核の密約問題、アフガニスタン問題や普天間問題という大変厳しい課題にも取り組んでいます。
えさき 09年は大きな決断をした年です。それまでの自治労運動とは違い、政治の道を志すという違う世界の難しさを勉強させてもらいました。 決断した理由は、私自身、人生の節目で要請されたことに極力応えてきたということでしょうか。小さな町職労の執行委員になるときに先輩から言われた「請われた時に応えられる人間になれ。」という言葉を思い出します。一歩踏み出すというのは、性格もあるかもしれませんが、積み重ねの部分が大きいと思います。
谷口 京都について、どのような印象をお持ちですか。
福山 京都で選出を頂いていることを大変うれしく思っています。特に外務副大臣に就任してからは、海外からの来賓との会談や食事等の機会がありますが、京都出身だということだけで話が盛り上がります。文化・芸術の都、歴史のある京都。「Do you Kyoto?=環境にいいことをしていますか?」の京都議定書の発祥地としての京都。ありとあらゆる「京都」の歴史的な価値の上で仕事をさせてもらっているなあと思っています。
えさき 歴史の町や、お寺が好きなので、京都は大好きな都市で何度も来ています。個人的にいうと、町屋とか町並みとか、京都のまちをもっと大切にしてもらいたいと思います。暮らしている人は大変かもしれませんが。京都のように日本の伝統文化をしっかり残している土地は、そんなにないですからね。
橋元 その通りです。しかし、町並みの修繕とか補修は厳しいですよね。道路や防災上の法律が厳しくなって、京都の町並みは間口が狭くて、建て替えや補修ができない。 行政からすると、地域で違うから、法律は地域で条例化してほしいというのが実感ですよね。そうでなければ、伝統的なものは、なかなか守っていけないと思います。
これからの日本の社会について
谷口 さて、2010年は今後の日本にとって非常に重要な年になります。まず、公務員制度改革について、今の状況、2012年の公務員制度改革のあたりまで含めて、どのような考えをお持ちですか?
えさき 民主党の政策からすれば、今の協約締結権と勧告制度の廃止は、スタートライン。あとは私たちが、「制度を変えるなら最低限、ここだよ」という議論してきたことを、新政権の中でしっかりと議論して我々が思う公務員制度改革にしていくかだと思います。いずれにしても今年から2011年度の議論は大事になります。
また官僚制度についていえば、国だけの問題ではなく、中央があって県があって自治体がある。 自治体の地方公務員も、今まで慣れ親しんできた状況について、変革を迎えざるをえない。官僚制度というのは国だけの問題ではなくて、そこが変われば地方も変わってきます。
橋元 公務員制度改革で協約締結権が来るということについて、府本部としては各単組に周知徹底し準備させていく必要があります。今の人事院勧告制度が、どうなるかによって大きく変わってくると思いますが、これからは賃金決定システムが民間と同じ形になる。その時、戸惑いがないように、民間のたたかい方を連合の中で学習し、自治体の労使関係の中に採り入れたい。
えさき 委員長がおっしゃった通り、春闘がもっと身近になる。春闘で民間の賃金ベースが決まり、それをベースに自治労中央、そして地方の有力単産が交渉し、相場をつくって市町村のベースになる。という流れになると思います。組合がないところは、決まらないという可能性も出てきますね。決まらないということは、景気がよくなって、他は上がっても、そこは上がらないということです。
谷口 また、正規職員だけではなく、非正規、臨職のメンバーも入れた組織構造の中で、過半数を保つことが重要になってきます。
えさき 地方分権、行政改革の中で、自治体は自己決定力が必要になってくる。組合サイドでも、自己決定力が必要となり、その範疇は、就業規則から賃金水準など多岐にわたる。そうなると、過半数代表制があるので非正規、臨職のメンバーも組織化して一緒の労働組合の中で交渉していくことが、絶対条件になっていくと思います。ただ、問題なのは、非組合員が多いところは、過半数代表制が保てなくなり、労組の死活問題になります。
谷口 非組の問題は大きいですよね。
えさき 今回の公務員制度改革は、産別の労働組合としての新しい模索もある。自治労にも自治労連にも入っていない未組織のところは、組織拡大の最大のチャンスです。労使で決めていくとなった時に、組合がない組織の問題について、堰を切ったように組合をつくらないといけないという動きが出てくる。何十年に一回の公務員制度改革なのでやらないといけないことはたくさんあります。労使関係の問題だけではなく、非正規職員、臨職非常勤の処遇の問題、今の賃金状況を変えるためには地方自治法改正の必要や、技能労務職員の単純労務の法律を整備などを行う必要があります。折角の機会ですから、自治労で議論しなければなりません。われわれがやらないと、誰もやりませんから。
谷口 民主党連立政権は地方主権という言葉で、地方の活性化および税財源などの見直しを検討されています。福山さんなりの地域主権についての考え方をお教えください。
福山 民主党は地方主権・地域主権をマニフェストに大きく掲げて選挙を戦いました。財源や権限をどう地方に移していくのか、地域のことは地域で決めるということをどのように政策的に実現していくかがこれからの課題です。地方公共団体で働かれている皆さんの意見もしっかりと受け止めて、今までのようなスローガンだけで終わらない地方主権・地域主権の体制を早急に整備していきたい。
谷口 次に、民主党連立政権に労働組合として求めたいものは?
えさき 労働基準監督署の権限を強化してほしいですね。資本主義の先進国で労働者の権利である労働基準法が、こんなに粗末に扱われている国はないと思います。労働者も使用者も労働基準法を守らないと、ワークライクバランスは、先のまた先になります。
橋元 使用者側と労働者側が雇用を結ぶ時の契約書すら交わしていないケースもある。自分たちの中で権利をはっきり区別できるような権限を持つことについてはぜひすすめたい。
谷口 次に、主要政策の一つで温室効果ガス25%削減が出されました、環境問題についてどうですか?
橋元 環境問題は時間がかかります。時間の有効なかけ方は何か。5月にノルウェーに行って学んだことは、ごみの分別を学校で低学年から教えている。20年という長い時間をかけて計画して教え、自然とごみの分別ができるようになるということ。計画的に、どこから教えるかが大切だと思いますね。
えさき ドイツに行った時に思ったのは、環境教育を小学校でやっている。そこでの子どもたちの標語が「グローバルでものを考えて、行動をローカルにやる」。私たちの生活は地球規模につながっていますと。環境問題は、強いリーダーシップで政治主導でないとできないですね。
谷口 その政権・内閣のなかで重要な任務を遂行されている福山さんは、一児の父親でもありますね。子育てや環境問題についてどのようなお考えがありますか。
福山 まず、「子ども手当」は、単にお金をばらまくという政策ではありません。不妊治療への保険適用の検討、出産一時金の拡充、0歳から中学生までは子ども手当、高校授業料の実質無償化、大学生の奨学金拡充など、これだけ地域間や賃金の格差が広がっているなかで、どんな地方のどんな親御さんのもとでも、子どもたちには学びの機会を社会全体で確保していこうというメッセージの表れのひとつです。また、気候変動の問題も、未来のまだ見ぬ子どもたちのためにいかに生態系を守り、異常気象による災害や農作物の被害を抑えていくのかという課題と、気候変動対策をきっかけとした新たな技術開発や雇用創造、ライフスタイルの変化にいかに備えていくのかという課題との、両面を考えなければいけないと思います。
子育て政策も気候変動の問題も、どちらも未来に責任をもつ政治という意識の表れです。自治労の皆さんには今後も、気候変動に対応する豊かな街づくりについて、アイデアや力をお借りしたいと思います。
谷口 さて、この夏の参議院選挙に対する意気込みをお願いします。
えさき 立候補したからには当然、勝つつもりですが勝ち方にこだわりたい。なぜかというと、いま自治体の現場は大変です。人は減って、給料は下げられて、仕事は増える。限界を超えつつある。
民主党は地域主権といっていますが、権限も、税源も移譲され、自己決定力が問題になり、自治体はさらに仕事が増え過酷な状況になる。その事実を、よく知らない世界が周りに一杯あるので、自治労組織内の比例代表の選挙区で、どれだけ数が出るかが、ほんとに大事だなと思っています。
福山 今夏の選挙は、とにかく参議院で過半数を確保し、政権を安定させることが一番の目的。いかに安定的に中長期にわたって政策を実行できるかが、日本再生のカギだと私は思っています。
私と同期の高嶋参議院議員の後を引き継いで、えさきさんにも上位当選に向けて御健闘いただきたいと思います。私も京都選挙区で三度目の挑戦となりますが、京都の有権者の大きな支持で勝たせていただき、この新政権の中で仕事をさせていただきたいと思っています。
橋元 民主党にはもう一度参議院で圧勝してほしい。それでこそ、本来の政治を担う政党だと思います。民主党を支えている自治体労働組合としては、もっと地域の市民に訴えていく。それが自分たちの仕事を維持していくためにもなるという思いで、やるだけのことを全力でやりたい。
谷口 最後に2010年の抱負についてうかがいます。
えさき 選挙に勝って、非正規の賃金労働条件の改善、公務員制度改革など、あらゆる課題を国会の場で果たしていく。自治労が、これまで実現できなかったことを、できる限りやりたい。
福山 まずは、早期の予算成立。さらに、参議院選挙での勝利。そして、マニフェスト実現へ加速をつけることです。
橋元 労働組合の立場でいうと、自治労京都府本部がやらないといけないことは、組織づくりを目標に組合員を増やすこと。それが一番重要であり、いろんな結果につながるという思いです。
幕末の英雄として広く認知されている坂本龍馬。2010年のNHK大河ドラマが「龍馬伝」でもあり、その生きざまを感じてみようと京都市の伏見区を訪れた。
伏見と言えば、やはり寺田屋。薩摩藩士同士が斬り合った「寺田屋騒動」や、伏見奉行所の捕り方に襲われた龍馬がお龍の機転で脱出したエピソードが残る船宿として、歴史に名をとどめている。当時の建物は鳥羽伏見の戦いで焼失したが、再建されたものが月桂冠の酒蔵群より西へ約5分の位置にある。
「京へ来たなら 一度はお寄り 伏見寺田屋 坂本龍馬 昔白刃の 裏梯子(うらばしご)」
再建されたものとはいえ、龍馬が滞在した部屋や薩摩藩士が斬り合った部屋、お龍が捕り方に気付いた風呂などが再現されている寺田屋。当時の空気が色濃く残り、タイムスリップした気分に浸れる。案内の人が適宜、解説などをしてくれるのもうれしい。
寺田屋の東側にある商店街は、捕り方に襲われた龍馬がこの通りを逃げたというエピソードから「竜馬通り商店街」と名付けられている。石畳の通りに面してさまざまな商店が並ぶなか、「龍馬館」という龍馬のグッズをそろえた店も。お店をのぞきながら龍馬が駆け抜けた通りを踏みしめたい。
襲撃を受けた龍馬が身を隠したという西岸寺もこの近く。北に進めば寺田屋騒動で命を落とした薩摩藩士を葬る大黒寺や、傷ついた龍馬を助けた薩摩島津藩伏見屋敷跡がある。ほかにも銀座発祥の地石碑や伏見奉行所跡石碑、鳥羽伏見の戦いの銃痕が刻まれた格子(京料理 魚三楼(うおさぶろう))など見どころには事欠かない。
これらからは新酒の季節。伏見の銘酒を味わいながら散策するのもいいかもしれない。歴史と酒蔵のまち、伏見。ぜひあなたも歩いて欲しい。
《伏見へのアクセス》
《寺田屋》
「1960年に市川崑監督によって製作された名作『おとうと』と、あえて同じタイトルをつけ、この作品を敬愛する市川崑さんに捧げたい」という山田洋次監督の『おとうと』が公開される。
寅さんシリーズが愚かな兄と賢い妹の物語だとすれば「おとうと」は賢い姉と愚かな弟の話。
姉、吟子(吉永小百合)は娘の小春(蒼井優)、姑の絹代(加藤治子)と東京の郊外で、夫亡きあと薬局を営みながらつつましく暮らしている。
音信不通だった吟子の弟鉄郎(笑福亭鶴瓶)が、突然小春の結婚式に紋付きはかま姿で現れる。鉄郎は大阪で暮らし、役者になる夢をいつまでも追っている頼りない弟。
吟子の夫の十三回忌で酔っぱらって大暴れした鉄郎に、連絡がつかないのを幸いにほっとしていた親類の人たち。
兄の庄平(小林稔侍)に飲まないことを約束して出席を許された鉄郎だが、我慢できたのは最初だけ。結局、酒を飲んでしまい、頼まれてもいないのにスピーチを始めてしまい、小春という名は自分が付けたことを披露したり「王将」を歌ったりして、マイクを独占、披露宴を台無しにしてしまった。鶴瓶の演技は地のままやろ! とつっこみを入れたくなるくらい自然な感じ。新郎の両親にさんざん文句を言われた庄平は縁切りを宣言する。
どこの家庭にも親類に鉄郎みたいなトラブルメーカーが一人はいるだろう。厄介者扱いされているが、叔母さんや姉さんのような人にかばわれて、守られている。
いつも、かばってきた吟子だが「もうこれきりにして、お姉ちゃんなんて呼ぶのは」と鉄郎に絶縁を言い渡す出来事が起こる。
笑福亭鶴瓶と吉永小百合が姉弟だなんて、と思っていたが違和感がない。吉永小百合が鶴瓶の小学生時代の写真をもらったりして、脚本以前の物語を作るのに大分時間を費やしたらしい。
またもや音信不通になっていた鉄郎だが、「みどりの家」という民間のホスピスに居ると連絡が入った。身寄りのない人々の最期をみとる施設。通天閣の見える場所にある。NPO釜ヶ崎支援機構の人々がエキストラ出演。「みどりの家」を運営する夫婦の言葉「どんな人であれ、生き直すことはできるし、よく亡くなることもできる」そういう社会にいつなるのか、いつできるのか。私たちが見失ったもの、社会が見捨ててきたものが何なのか考えさせられる。
人間って、けんかしたり許しあったりしながら何があっても生きていける動物なんだ、と思う一方、家族や友人という周りの人々の大切さを再認識させられる映画。
★府本部では鑑賞券を斡旋しています。1枚1000円(通常1800円、前売1300円)
お問い合わせは、所属組合または府本部まで。