2011年4月15日号(第640号)

大の征次、平井としき、小林あきろう候補が当選

逆風の中、健闘 第17回統一自治体選挙

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第17回統一自治体選挙の前半戦、京都府議会選挙と京都市会議員選挙が4月10日に投開票され、府本部組織内の大野征次さん(府議会・八幡市選挙区)、平井としきさん(府議会・京都市北区)、小林あきろうさん(京都市議会・上京選挙区)が当選した。ふじかわ剛さん(京都市議会・山科選挙区)は奮闘およばず落選の結果となった。

また、府本部推薦候補も民主党に対する逆風の中健闘。民主党は、府議会で2つ議席を伸ばしたものの、市議会では現有議席から1つ落とす結果となった。投票率は大震災の影響からか府議選で過去最低の44・48%。市議選で過去2番目に低い42・9%となった。(2面に府本部推薦候補の当落一覧)。

府本部は自律的労使関係制度確立後の地域住民の生活を支える公共サービスを再生し、市民自治を基本とした分権改革を進めるため、組織内・推薦議員との連携を強め、政策実現へ運動を推進する。

後半戦は、24日投票の日程で、府内各市町村議会選挙と首長選挙が行われる。府本部はまず、京田辺市議選で組織内、米澤修司さんの勝利へ向けた取り組みを全力で推進する。

災害ボランティア活動中

自治労復興支援活動計画 当面、第8グループまでの2か月間

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自治労本部および各県本部は4月2日に臨時県本部代表者会議を開催し、復興支援活動に組織を挙げて全力で取り組むことを意思統一した。

この支援活動の具体的指示として、各単組に災害ボランティアの参加を要請、各県で取り組みを進めている。

第1グループとして京都府本部から参加している5人は、現地の宮古市職員の指示で、近畿の県本部の仲間とともに救援物資の仕分け作業を担当している。集積地に運び込まれる支援物資を種類ごとに分類し、各避難所あてに配送するための作業だ。今後の状況により人数の縮小や他任務への振替もありえる。

府本部は第1グループ以降、当面第8グループまで2か月間の支援計画を作成し、各単組に具体的な要請を行なう予定だ。各単組におかれましては、自治労の仲間を支え復興を担う活動に、ご協力をお願いします。

「法の欠缺」状態である官製ワーキングプア

連合大阪副事務局長 村田憲彦

近年、自治体の臨時非常勤職員に対する一時金・退職金支給の適法性が住民訴訟で争われるケースが増えている。

地方自治法は204条で「常勤の職員」には手当を支給できるが、203条で「非常勤」には報酬と費用弁償しか支給できないとしている(なお、一時金・退職金は公務員法では期末手当、退職手当とされている)。

地方自治法は「自治体業務は原則、正規職員に担われる」ことを前提としている。法の前提と現実の矛盾が自治体で働く臨時・非常勤職員の労働条件を劣悪なものにし、これが「官製ワーキングプア」と呼ばれている。

これは、「法の欠缺(けんけつ)」の問題と言える。法の欠缺とは、日本のように成文法の国においては、法律は文章で書かれ、適用範囲も文章によって表現される。そのため、立法当時の配慮不足や立法後に生じた全く予想外の事例の発生などによって、適用する法規が欠けている(存在しない)状態にあることを指す。

不安定かつ低位な「自治体の臨時・非常勤職員」

自治体における臨時・非常勤職員は、行政サービスの拡大と地方公務員の定員抑制・削減を背景に年々増加を続け、自治労調査では全国で約60万人と推計されている。

その業務内容は、臨時的業務やいわゆる補助的業務だけでなく、その多くが常勤職員と同様の恒常的業務を担っている。全自治体の職員に占める臨時・非常勤職員の割合は、約30%にもなっており、地方行政の重要な担い手であるにもかかわらず、地方公務員の法制度では明確に位置づけられていない。

また民間労働者を保護するパート労働法や労働契約法、育児介護休業法も適用されず、法の谷間に置かれている。年収も200万円以下が7割、また雇止めの可能性もあるなど、雇用と処遇は不安定かつ低位に置かれているのが現状だ。

枚方市非常勤職員事件訴訟

2010年9月17日に大阪高裁の三浦潤裁判長は、「非常勤職員は手当を返還しなければならない」とした一審の判断を棄却する画期的な逆転判決を言い渡した。

この裁判は、原告である住民(自称オンブズマン)が、枚方市が給与条例に基づき一般職「非常勤職員」に対し、期末手当・退職手当を支給したことが給与条例主義に反し違法であるとして提起した住民訴訟だ。2008年10月31日、第一審の大阪地裁は原告の主張を認め、「元市長個人に損害賠償を請求するとともに過失のない非常勤職員に手当の返還を求める」という異常な判決を言い渡した。訴訟規模5億円、適法性が争われたのは、学校の宿日直代行員や保育士などの約380人の非常勤職員に対し、2003年12月から2005年3月までに支給された一時金や退職手当だった。

  1. 枚方市の「非常勤職員」が地方自治法204条の「常勤の職員」にあたるか。
  2. 枚方市の「非常勤職員」に手当を支給できるとする給与条例は、支給額などを定めていないから給与条例主義に反するか。

ということが争点とされたが、大阪高裁は、勤務時間が週29時間を超えていた同市の非常勤職員は、「常勤職員と大きく変わるものではない」とし、手当支給の対象になるとの判断を示した。また、詳細を規則に委ねた同市の給与体系について「給与条例主義に反するものではない」とし、条例での詳細な規定を求めた一審の判断を退けた。

判決は、任用の手続きで公序良俗違反など「特段の事情」がない限り、非常勤職員にはこれを返還する義務は生じないとの初判断を示した。その上で、非常勤職員が生計の糧とするために働いていたことや、一時金の額も常勤の職員と比べて不当に高いものではなかったと指摘し、自称オンブズマンの請求を一蹴した。

適正な労働基準を求める取り組みを!

この判決により自主交渉によって、当局に対し期末手当や退職手当を要求できる道筋を確保したことになる。ただし、報酬と費用弁償しか支給できないとの当局側の主張が全面的に崩れた訳ではない。

常勤的臨時・非常勤職員には各種手当を支給できるよう条例を制定ないし整備させる必要がある。臨時・非常勤職員にも、民間労働者を保護するパート労働法や労働契約法、育児介護休業法などを適用させねばならない。

さらに、国や地方自治体の事業を民間企業に委託する公契約においても適正な労働基準の確保を求め、国に対しては公契約基本法、地方自治体に対しては公契約条例の制定を重要な政策要求として取り組みを進めることこそが、すべての労働者の処遇改善になると確信している。

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