自治労第83回定期大会が、8月24日から3日間、長野県長野市の「ビッグハット」で開催された。全国から代議員・傍聴者など約4,500人が参加、府本部からは代議員・傍聴者51人が参加した。運動方針、当面の闘争方針をはじめ、10の議案が討議され、いずれも可決・承認された。
冒頭あいさつで徳永秀昭中央執行委員長は、「東日本大震災で自治労は現地支援活動を行ってきたが、未だ被災地復興や原発事故収束のめどは立っていない。被災県本部と協議し対応を検討する」と述べ、公務員制度改革については「国公関連四法案が提出され、消防職員の団結権付与に向け政府が正式な見解を出すなど、歴史的一歩を踏み出した。法案成立に向け全力で取り組む。成立後の労使関係を見据え「要求―交渉―妥結」のプロセスを確立し、自律的労使関係の構築、単組の強化に向けた取り組みが必要だ」と問題提起。とくに自治体非正規職員について「被災自治体では人員不足の問題がある。公共サービスの水準維持のためにも非正規職員の処遇改善や正規化に全力で取り組む」と決意を述べた。さらに、「脱原発社会に向けたエネルギー政策や民主党政権、自治労共済と全労済の統合など様々な課題について、ひとりひとりの力を結集し、戦後最大の試練を乗り越えよう」と力強く訴えた。
その後来賓のあいさつ、新規加盟の紹介に続いて、一般経過報告および東日本大震災特別報告、決算報告などの提案があり、質疑討論を受け、採決、承認された。
引き続き、第1号議案「2012‐13運動方針案」、第2号議案「当面の闘争方針案」、第3号議案「組織強化・拡大のための推進計画案」、第4号議案「2012年度一般会計・特別会計予算案」、第5号議案「規約・規程の一部改正案」が提案され、活発な質疑討論が展開された。
2日目も引き続き、1号〜5号議案に関する質疑討論、規約改正と役員選挙の投票が行われ、府本部からは谷口書記長が、
を発言した。
3日目は、会場討論に続き、総括討論、徳永委員長から本部総括答弁が行われ議案の採決へ。すべての議案は可決・承認された。また「さようなら原発1000万人アクション・地域でのたたかいを通じ脱原発とエネルギー政策の転換を進める特別決議」他の採択のあと、役員選挙の結果が報告され、徳永委員長をはじめとした新執行部体制が決定した。最後に大会宣言、団結がんばろうで大会は終了した。
10号議案・新規加盟組合の承認では、2011年度は21県本部30単組が新規加盟し、単組代表者が登壇。
府本部からは、京都衛生開発労組の嶌敦委員長が登壇し、新規加盟単組を代表してあいさつ。当局の不当解雇、不当労働行為に対し、最後までたたかう力強い決意を報告し、会場から激励のため万雷の拍手が贈られた。
府本部は、10月8日(土)午後1時から、京都市・ウイングス京都で第75回定期大会を開く。
2012年度運動方針案をはじめ、一般会計・特別会計予算案、当面の闘争方針案などを提案する。運動方針案では、
の5点からなる運動の基調を軸に、新しい公務員制度の実現と生活改善の取り組み、人員確保・労働時間短縮・安全衛生体制の確立などの取り組みを提案する。
当面の闘争方針案では、確定闘争、現業公企統一闘争に向けた具体的な闘争態勢などを提起する。
また今大会で現役員体制が任期満了となるため、2012〜13年度役員選挙が実施される予定だ。
土曜日午後からの開催ではあるが、各単組代議員の積極的な参加をお願いする。
府本部は9月8日、キャンパスプラザ京都で男女がともに担う委員会学習会を開催。神戸常盤大学の小ア恭弘さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)を迎え、「パパの子育て〜仕事と家庭のハッピーバランス〜」と題して講演を受けた。参加者は11単組30人。
「イクメン」がマスコミで取り上げられ、父親の育児が注目を集めている。背景には、働く女性の増加や男性の家族志向、企業の経営戦略などがある。父親の育児は、子どもが多様な価値観を育むことができ、母親は育児不安から解消され、父親本人も生きている意味を感じる良い機会となるなどメリットは多い。しかし、多くの男性は長時間労働のために子どもと触れ合う時間がなく、育児をパートナー任せにしている。
講師は、「みんなが幸せになれる豊かな社会にするには、男性のワークライフバランスが重要だ。仕事と生活の調和を主体的に実践することで、生活の質を高めることができる。男性が自分の人生を考えることが必要」と経験談や資料を示しながら、ユーモアを交えて説明された。
学習会後半は、「仕事」「子ども」「パートナー」「趣味」「健康」「友人」「お金」「地域」「生活」のカードを使って、現実の優先順位、理想の順番、捨てられるもの、捨てられないものを考える時間を持った。参加者は、理想に近い生活ができるワークライフバランスの必要性を感じたのではないだろうか。
6月3日、国家公務員制度改革関連四法案が閣議決定、国会に提出された。法案は、
の三本柱からなり、その全体として、「時代の変化に対応して、国民のニーズに合致した効率的で質の高い行政サービスを実現し、縦割り行政や天下りの弊害を除去するとともに、公務員がやりがいを持って存分に能力を発揮できる環境をつくるため、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を推進」するものとされている。
四法案とは、国家公務員法等の一部を改正する法律案、国家公務員の労働関係に関する法律案、公務員庁設置法案、国家公務員法等の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の4つを指す。
法案の3本柱の1つ目、「幹部人事の一元管理その他の人事制度の改革」は、各段階に応じた人事制度改革と官民人材交流の推進という2つの内容からなる。
2つ目、「退職管理の一層の適正化」というのは、いわゆる「天下りあっせん」を根絶するというもの。
3つ目、「自律的労使関係制度の措置」は、連合や公務員労働組合が長年求めてきた、公務員の労働基本権の回復の重要な一歩となる内容だ。
自律的労使関係制度という言葉は、2008年の国家公務員制度改革基本法に初めて現れた。これは、これまで「第三者機関」人事院などに依存して公務員の賃金・労働条件を決定してきた仕組みを大きく変えて、交渉を通じて労使が自律的に賃金・労働条件を決定する制度にしようとするものだ。従来大きく制約されてきた公務員の団体交渉権の拡大となる。
具体的には、1. 公務員の労働団体と使用者(当局)との交渉は従来、「団体協約を締結する権利を含まない」とされてきたが、団体協約を締結できる仕組みにする、2. 賃金・勤務条件にかかわる人事院の勧告制度を廃止する、というもの。
これに伴い、3. 団体協約の効力は、労働組合法の労働協約のように直接に労働条件を決定するもの(規範的効力)ではなく、法律、政令、府省令の改正などにより労働条件を変更することを使用者(当局)に義務づけるものとする。ただし、法律で定められていることについては、内閣は法律の制定改廃を提案する義務にとどまる、4. 団体交渉拒否などの不当労働行為を禁止するとともに、中央労働委員会による救済の仕組みを設ける、5. 使用者(当局)と労働組合の間に紛争が発生したときは、中央労働委員会によるあっせん、調停、仲裁を可能とする、などとしている。
しかし、たとえば現行給与法では俸給表の一つひとつの金額や一時金の支給割合まで細かく決められていることから、せっかく労使交渉、団体協約で決めたことが国会で否決され無効とされるおそれが考えられる。
そこで、6. 給与法の個々の規定を政令に委任することについて、検討・措置という言葉で宿題に残された、7. 国家公務員の争議権についても、同様に検討・措置という言葉で宿題に残された、ということから、早急に解決しなければならない問題となっている。
このように、いくつか問題は残しつつも、公務員の労働基本権回復が一歩進むものであり、一日も早い国会での成立が望まれる。同時に、現在総務省で検討されている地方公務員の労働基本権回復に向けた法律案も、消防職員の団結権・団体交渉権確立とあわせて、早急に具体化される必要がある。
近畿地連青年女性協議会は7月30日、2011夏季セミナーを神戸市ひょうご共済会館で開催し、府本部女性部と青年部から5名が参加した。
今年の夏季セミナーは、大震災から考えるこれからの「防災」をテーマとし、兵庫地方自治研究センター理事長からの講演を聞いた。今回の震災では、自治体労働者の被災が多く、防災より日常業務を遂行することだけで精一杯ということが、被害の拡大にもつながったという。
また、神戸中央消防署救急係長による「AED講習」では、実技を交えて正しいAEDの使用方法を教えていただいた。
この2つの講演で共通することは、常日頃からの心構えや備えが大切だということと、正しい知識の普及に務めることの大切さを学ぶことができたことだ。特に、AED講習では、勤務先に設置されているところも多いため、職員が正しくAEDを使用し、心肺蘇生法を実施できることは、蘇生率の向上につながるため、充実した研修となった。
※AED(自動体外式除細動器)…心室細動の際に機器が自動的に解析を行い、必要に応じて電気的なショック(除細動)を与え、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器。