2016年1月1日号(第727号)

2016年 新年特集号

全ての災いが去る(申)ように
必ず勝利しよう

笑顔で幸多い希望の年を迎えよう/自治労京都府本部 執行委員長 高橋直樹

新年明けましておめでとうございます。組合員とご家族のみなさまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。また旧年中の様々な活動や取り組みにご参加いただきましてありがとうございました。とりわけ4月に行われました統一自治体選挙におきましては、多くのご支援とご奮闘をいただきましたことに深く御礼を申し上げます。

さて、昨年は人事院による四半世紀ぶりとも言われる二年連続の月例給および一時金の引き上げ勧告がなされる一方、政府による給与制度の総合的見直しの圧力が強まるとともに、臨時国会が召集されずに国家公務員の給与改定が行われないという困難な状況の下で確定闘争をすすめてきました。しかし、そうした状況の中、給与水準の維持・改善へ向けた各単組での積極的な取り組みにより、多くの単組において様々な成果を勝ち取って頂くことができました。

また、国政に目を向ければ、安倍政権は昨年秋の通常国会において、国民の数多くの反対の声を押し切り、労働者派遣法改正法案や安全保障関連法案を強行採決という暴挙により成立させました。そして現在、私たち働く者の権利や将来の安心は著しく脅かされています。

今年は申年です。全ての災いが去る(申)ように、7月の参議院議員選挙では必ず勝利しなくてはなりません。すでに自治労京都府本部は、比例代表に自治労の代表である「えさきたかし」参議院議員、京都選挙区に「福山哲郎」参議院議員の推薦を決定し、必勝へ向けた取り組みを進めています。また、2月の京都市長選挙・八幡市長選挙を皮切りに京都府内においてはこの一年間に多くの首長選挙も予定されています。

日本の平和と私たちの生活を守るため、そして豊かな地域社会を創造していくためにも、それそれの職場・地域で、文字通り一致団結し、ご奮闘いただきますことをお願い致しまして、年頭のご挨拶といたします。

※表紙の写真は、京都市西京区嵐山の松尾大社の拝殿(東面)に掲げられた大絵馬は今年の干支「丙申」(ひのえさる)。お酒の神様が祭られ、お正月には干支升酒(1200円)を頂くことができます。

2016新春対談 公共サービスを守り 暮らしと生活を豊かに

自治労京都府本部は、公共サービスを守り、労働者の暮らしと生活を豊かにするために取り組んでいます、しかし、昨年は数の力で抑え込む政治で、憲法違反の安全保障関連法制定や労働者保護ルールの改悪など私たちの生活が脅かされる事態となりました。そして、今年は7月に第24回参議院選挙が予定されており、政治状況を変える大きなたたかいとなります。

この新春対談は、高橋直樹執行委員長がコーディネイターとなり、組織内予定候補のえさきたかし参議院議員、京都選出の福山哲郎参議院議員に社会の在り方や政策転換の必要性を語っていただきました。

昨年と6年間の議員活動を振り返って
高橋
あけましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました。さて、昨年1年間と議員6年間を振り返っていただき、思い出深いことをお願いいたします。
えさき
あけましておめでとうございます。昨年の最大の争点は、福山さんが奮闘された245日間の戦争法案で『安倍政権の横暴極まり』それに尽きると思います。野党側の力が落ち、政権が事を構えてやれば、数の力で何でもできてしまう国会だと強烈に感じた1年です。
そして、この6年間は政治の変動を見せつけられた思いでした。中でも社会保障制度改革を途中で諦めざるをえなくなったのは忸怩たる思いです。
福山
あけましておめでとうございます。えさきさんと同様、昨年1年間は安保法案と労働法制の両法案の強行採決に象徴されるように、国民の声を無視した安倍政権の暴力的な体質がよく見えたと思います。臨時国会も開かれず、安保法案で憲法を軽視する姿勢も明確になりました。ただ、安保法案審議の時、国会前に十数万人、全国でも多くの方が声を上げました。
新しい民主主義の可能性を我々自身は感じ、安倍政権には脅威だったはずです。国民のうねりをいかに受け止めていくかが、えさきさんや私の役割です。そこを受け止めきれなければ我々の存在感もないわけです。そういうことを感じた1年です。
この6年間は、参議院がねじれた中で東日本大震災が起こり、原発事故にも向き合いました。政権から転落し、国政選挙で負け続け、民主党は信用しないと批判を受けたこの数年です。その間に民主党に対する不満の受け皿として出てきた政党もありましたが、もう一度、我々が国民の信頼を回復し「一強多弱」の政治状況を変える中心となっていかなければいけないと確信しました。
高橋
昨年を含めて激動の6年間ですね。政権交代あり、大震災あり。参議院議員の6年間は長いがゆえに、6年後はどうなっているか全くわからない政治状況の中で闘う時代になりました。
日本と地域の将来像
高橋
安倍首相の「一億総活躍社会」は、実像が見えてこない。一方に地方創生として「まち、ひと、しごと総合戦略」があり、その関係性に与党からも疑問の声が上がっています。また、ネーミングもあえて「まち」が先にあり「ひと」に対する政策が後回しに感じます。
そこで、国会議員として日本をどうするかが重要なテーマとなります。福山さんは地元の京都を中心に、えさきさんは地方自治体をどうすべきか語っていただければと思います。
福山
サラリーマンの平均年収が1997年をピークに2009年まで下がり続け約2割減っています。この、状況の中で日本は終身雇用が崩れ、労働環境が不安定化した働く人たちに介護や子育ての負担感が強まりました。子供手当や高校無償化、社会保障を充実することによって、今まで企業がカバーしてきた中間層の厚みを、社会全体で回復していこうというのが我々の政権の目指す姿でした。
しかし、安倍政権によって全く逆行し、さらに不安定な労働環境になり、子育ての環境の悪化や子どもの貧困が進みました。そして社会保障についても極めて不安な状況に戻りつつあります。
やはり、我々自身、元々めざしていた社会について、もう一度胸を張り、下をむかずに訴えなければなりません。社会の在り方として、多様性を大切にし、誰ひとりとして排除されることのない包摂社会を創ろうとすることは、今の安倍政権と決定的に違うと言えます。
えさき
安倍政権のいう「地方創生」に、現地の皆さんは「地方をばかにするなよ」といっています。過疎の中山間、隠岐諸島の海士町は急に有名になりましたが、何十年も前から過疎対策に取り組み日本全国に誇れるものをつくりだしてきました。過疎をつくりだしたのはまさしく政治の責任でもあります。
住民が暮らしていく最小限度の公共サービスが、効率性のもとで奪われ続け、その一つの帰結として政権がいう「消滅自治体」とその前の「限界集落」が出てきています。あまりにドラスティックに変わりすぎた国の負が高齢化とともに出てきていると感じます。教育、介護、医療など対人サービスを行い、人々が全うに暮らしていける社会をつくっていくことです。
福山
京都では昨年、縦貫道が開通し京都北部と南部と関西圏が有機的につながりました。さらに舞鶴の国際拠点港の整備によって大陸側ともつながりました。政権時にビザの緩和や、観光政策、観光立国を掲げ進めたことが、徐々に芽を出し京都中に観光客がたくさんこられました。新しいインフラ整備により可能性がさらに広がり、伝統文化や世界トップレベルの上場企業がある強みを生かすことができます。「Do you Kyoto」に象徴されるような環境問題を京都から発信していくと同時に、しっかりとサポートして情報を京都に供給していくことが国会議員としての役割だと考えています。
えさき
京都は大好きでよく行かせていただいています。看板の問題とか、京都が先駆者的にやっておられて景観条例も含めて世界の京都です。企業の努力も大変でしょうが、まちづくり・自治体の在りようを提起していると思います。
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えさきたかし
参議院議員
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福山 哲郎
参議院議員
働き方と労働組合の役割
高橋
労働組合の組織率は、直近で17・5%となり毎年低下しています。また、先日の厚生労働省の発表では非正規が4割を超えたという危機的状況にあります。そして、自治体職場は人が減り、行政ニーズの変化で仕事が増えている中で、メンタルな問題を抱える職員が増えてきています。労働組合にエールをお願いします。
えさき
昨年9月にヨーロッパの都市を視察しました。そうそうたる日本の企業の経営者と話をする機会がありました。3つの都市で「ヨーロッパに住んでいていま日本をどう思いますか?」と同じ質問をしました。特徴的な答えが「東京、一極集中は異常ですね」と「日本人の働き方も異常だね。こちらでは定時で仕事は終わっている。残業をやってもヨーロッパより生産性は低い」やはり、日本での労働組合の位置づけ、役割の強化が求められているはずです。
福山
地方自治体でも非正規雇用が増えています。民間も当然、非正規雇用が増え今や2000万人と言われている。働き方は多様で、それぞれ選択があっていいと思いますが、その非正規のみなさんを本当に受け止めて政策的に提言し、その方々とコミュニケーションする役割は労働組合しかないと思います。また、今年出てくる労働基準法の改悪を今の安倍政権の数の力で強行されれば、もっと労働環境が悪くなる。単に産別の利益とか連合の利益を超えて闘わなければなりません。
えさき
私が自治体で仕事をしていた時、日本には守れていない法律が3つあり公職選挙法と道路交通法と労働基準法だといわれていました。特に労働基準法は、働く人たちの働き方を規制すべき法律なのにほとんど守られていない状況と言えます。社会正義として正すのが労働組合の役割ですが、残念ながら労使の関係では圧倒的に負けていて、日本人の働きすぎを生んでしまっている。その意味でも労働組合の役割は重いと思います。この間、地方公務員は50万人減少しました。すさまじい減り方です。国が指導して公務員の数を減らしてきたのですが、今や総務省も「これ以上減らせない」と言いだしました。しかし、厳しい財政で自治体は自助努力をして現実にはまだ減っています。そのつけは、職員の非正規化となり止まらなくなっています。反転攻勢するためには人員確保闘争をする必要があります。もう一度そこから始めないと「地方の縮小=地方創生」の話になっていくわけです。労働組合の役割は働くもののために全うな主張をし、全うな行動をするということ。もう一度、民間も含めて立て直しを図らないと社会正義やメジャーにならないと思います。
福山
私も、労働組合は組合員の利益を守るためだけではないと思います。マクロな意味で働き方に対する政策提言をし、運動をつくりあげる役割があるのでは。国会議員は国民の声の代弁者といわれますが、第一の現場に近いところいる代弁者が労働組合のみなさんです。
政治のファクター(要素)としての役割は、経営者も労働者側も重要で両方が社会をよくするためにどうするかです。企業が儲けるのは社会的公器としてそこで働く人たちを幸せにする。それが社会全体のためになるわけですから。今の日本では、すぐに効率化とか儲ければよいという議論になること自体、実はそれが働いている人たちの権利や働く環境を奪うことになっています。
高橋
改めてお話を聞いていて、十数年前に連合評価委員会の座長をされていた中坊公平さんの話を思い出しました。「日本の労働組合というのは抵抗型の九州の炭鉱から始まった。地域住民がこの人たちの労働条件は気の毒だと皆が応援した。それから、労働組合は力をつけて要求型になった。抵抗型から要求型へ。要求型になって一定の力をつけた連合のあなた方に求められているのは連帯型の労働組合だ。弱い人、組織されてない人たちのために、あなた方が連帯型の労働組合をつくっていかないと労働組合の未来はないですよ。なおかつ、自治労のみなさんは自治体労働者だ。地域住民のもう一方の弱い人のために仕事ベースでもがんばっていただきたい。仕事でも組合活動でも、自治労のみなさんには弱い人たちの立場になって世の中の不条理と闘っていただきたい。そうすれば自治労の将来は明るい」とおっしゃられた。10年以上経っても、そのことが私の中に生きています。
えさき
自治体職員の多くは働く場所と居住が同じで、そして労働組合がある。現場で、自分たちが「暮らしやすいまちづくり」を発想するとき、自治労の組合員と市役所の職員、そして住民の三位一体で考えられます。それを考えると面白い職場です。何十万人の仲間の1割でもそのことを考えて実行してくれると、自治体はもっとエネルギッシュにやれると思います。
政治の対立軸を明確に
高橋
民主党応援団としてあえて言わせていただくと、労働基本権の問題があり、その引き換えに国家公務員の賃金カットがありました。
しかし、政権交代して労働基本権は付与されず、賃金カットだけが残りました。さらにそれが地方公務員にも波及し、組合員レベルでいうと失望感が残りました。それでもこの間の政治から、自民党ではだめだという気持ちは出てきています。7月に参議院選挙を迎えるにあたって民主党はどうするべきかお聞かせください。
福山
社会のあり方に対する対立軸をしっかり掲げ、民主党の政策を実現するために愚直にまじめにやるしかありません。野党で20年存続し続けたこと自身が力だと思うし、支えていただいた労働組合のみなさんに恩返ししたい。それだけ期待が民主党にあると思っています。この国で、自民党に対抗しうる政党は他にないという自負ももっています。安倍政権がこういう状況で、日本の将来が危うくなっている中で、それに対してもう一度立ち上がる時にきていると思います。
えさき
まったくそのとおりです。日本の政治の中で、一筋の光を国民に照らしたのが民主党でした。労働組合の支持だけではなく、もっとウィングを広げ、保守といわれる人たちも民主党が取り込んでいくことです。自民党という保守の牙城だった政権を一旦勝ち取ったわけですから、その時の情熱、思い、目的を愚直にやるしかないと思います。
残念なのは民主党を潰そうとする勢力があり、混乱させる方向にもっていこうとしている。それに揺さぶられているのが今です。仲間を信用しリーダーを育成しなければなりません。そのリーダーの一人が福山さんだと思います。
今年にかける思い
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高橋
最後に今年の抱負、組合へのメッセージをお願いします。
えさき
通常国会は盛りだくさんの課題があります。それをどう乗り切って7月の選挙につなげていくかです。日本の未来に大きく影響する選挙となります。政党政治にとっても大きな節目になると思います。全身全霊を傾け闘ってく決意です。
福山
私は、4度目の選挙となります。これまで17年間、自治労のみなさんには京都府内一円でお支えいただきました。今、京都府の障害者連合会の会長をやらせていただいています。各自治体の障害者政策に組合員のみなさんにも関わっていただいています。保育園やいろんな分野で自治労のみなさんに地域でがんばっていただいていますので、それを受け止め政策に変えていくための役割として、引き続き仕事をさせていただければと思っています。比例はえさきさん、選挙区は福山に、お力をいただきたく府内を走り回りますのでよろしくお願いします。
えさき
私からもぜひ、京都選挙区の福山哲郎さんをお願いします。今の政治状況の中で絶対に必要なリーダーです。
高橋
日本を危険な道に進ませないためにも、労働者が安心して働ける社会にするためにも、7月の参議院議員選挙は大変重要な選挙となります。自治労京都府本部は、二人の勝利に向けて組合員全体でたたかっていきたいと思います。必勝を祈念いたします。それではどうもありがとうございました。

 

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