2021年5月15日号(第825号)

非正規労働者の仲間づくりを進めよう


2020年4月からすべての自治体で「会計年度任用職員制度」が導入され、多くの会計年度任用職員がコロナ禍であっても、公共サービスの現場を支えている。また、公共民間の職場では「同一労働同一賃金」による不合理な格差の禁止が適用されている。同じ職場の仲間として非正規労働者の組合加入を進めよう。

自治体では…

2020年4月から自治体職場で働く一般職の非常勤職員の新たな任用制度として、会計年度任用職員制度がスタートして1年が経過した。

総務省の「地方公務員の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員に関する調査」によると、2020年4月1日現在の臨時・非常勤職員総数は約69万人。そのうち約62万人(89・6%)が会計年度任用職員として任用されており、勤務形態は短時間勤務が約55万人(88・8%)と圧倒的に短時間勤務が多い。

また2020年6月に自治労が実施した調査結果によると、賃金水準は期末手当の支給等により一定の処遇改善が図られた一方で、一部自治体では期末手当の支給のために月例給が下げられるなどの不適切な対応もみられた。正規労働者との均等・均衡といった法改正の趣旨を十分に踏まえた処遇となっておらず、7割を超える自治体で病気休暇、子の看護休暇等が無給であるほか、短時間勤務会計年度任用職員のうち約4人に1人が週35時間以上の勤務である等、労働条件等の課題についても浮き彫りとなっている。

同じく制度調査の結果からは、会計年度任用職員が組合加入している効果として、@月例給、A平均時給、B休暇制度の有給割合等が「組織化していない」自治体と比較して高くなっているなど、組合に加入している場合と加入していない場合で処遇に差があることが明らかとなっている。(囲み記事参照)

当事者である非正規労働者が組織されていないままの当局との交渉では、到達点に限界があるため、会計年度任用職員の組合加入に取り組もう。

公共民間では…

「働き方改革関連法案」により、常時100人以上を雇用する職場では、2020年4月(中小企業では2021年4月)から同一労働同一賃金を定めた「パート・有期雇用労働法」が適用された。その目的は、「正社員と非正社員の間の不合理な待遇差を解消することにより、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できること」をめざす点にある。

非正規労働者の処遇改善、同一労働同一賃金の実現には正規・非正規が一体となって労使交渉を行うことが何よりも重要だ。そのためにも学習会や組合説明会などを開催し、非正規労働者の仲間づくりを進めよう。

その賃金は当たり前じゃない!!

―組合活動の効果―


2020年6月に実施した自治労の「自治体会計年度任用職員の賃金・労働条件制度調査」によると会計年度任用職員の組合加入の有無により賃金・労働条件に差があることが明らかになった。

例えば、当事者が組合加入している自治体では平均時給が1000円以上の割合が高い。休暇制度についても、組合加入している自治体の方が有給の割合が高くなっていることがわかる。

非正規労働者の組合加入に向け、職場のみなさんのご理解とご協力をお願いしたい。

 

全国交流集会をWEBで開催

自治労全国臨職協

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自治労本部の臨時・非常勤等職員全国協議会は、4月18日に2021全国交流集会を開催。43県本部309人がWEBで参加。京都からは3単組6人が参加した。

冒頭、松本全国協議会議長は、「コロナ禍でも市民サービスを担う非正規職員の課題、会計年度任用職員の処遇や雇用安定など前に進めていかなければならない。本部や各県の取り組みを参考に、今後、各県本部でも協議会活動を展開し、活動の幅を広げてほしい」とあいさつした。

自治労組織内として第26回参議院選挙に立候補する予定の鬼木まこと書記長より来賓あいさつを受け、非正規で働く仲間の声を国会に届けてもらうため、鬼木書記長を全力で応援することを全体で確認した。

集会では、団体生命共済抜本改正の説明や本部提起が行われた。野角自治労本部全国協議会事務局長から「組織化と賃金・労働条件の改善を進めるには、同じ職場で働く仲間の当事者として声を集めながら交渉を積み重ねることが重要。処遇改善や雇用安定を勝ち取るためには『数は力』を意識し、仲間づくりにむけて『一人一声運動』を展開しよう」と提起を受けた。その後、各県本部から取り組み報告があり、会計年度任用職員制度導入後の情報などを共有した。

最後に、山西全国協議会副議長が「『数は力』を合い言葉に1人でも多くの仲間をつくろう」と集会をまとめ、松本議長の団結ガンバロウで閉会した。

公共サービスにもっと投資を!キャンペーン

各地域で街頭行動

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自治労の2021春闘全国統一行動として位置付けている「公共サービスにもっと投資を!」キャンペーン。各ブロック協議会では、4月7・14日に南部ブロック協、4月21・23日に市内・乙訓ブロック協が街頭行動を行った。

コロナ禍のためサイレント行動とし、アピール動画を流しながら、公共サービス職場の現状を訴えるチラシを入れたポケットティッシュを市民に配布した。「医療や介護、保育、給食、清掃、交通など、私たち公共サービス労働者は地域の生活に密着したサービスを担っている。限られた人員の中でコロナの感染の危険と隣り合わせの状態で働き、その処遇は働きに見合っていない。安心・安全な公共サービスの実現のために、もっと地方自治体に予算を配分するよう政策を転換すべきだ」と訴えた。

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