2021年11月15日・12月1日号(第833号)

すべての職場から労働災害を一掃しよう

12.3職場集会

photo

自治労は、労働災害の多発が懸念される年末年始の繁忙期に向け「現業職場からの労働災害を一掃するための職場集会」を実施している。現業職場における労働安全衛生対策の充実をめざし、12月3日を全国統一行動日として各単組、各職場での取り組みの強化を図ろう。

この取り組みは、1985年12月に清掃職場で連続して2件の死亡事故が起きたことをきっかけに、二度とこうした事故を起こさない職場づくりを目的に始まった。その後、清掃職場だけでなくすべての現業職場における労働災害撲滅の実現にむけ「現業職場から労働災害を一掃するための職場集会」として取り組まれている。

しかし、いまだ全国の現業職場では、清掃職場でのピットへの転落事故や収集車への巻き込まれ事故、給食職場での手・指の切創や転倒事故、学校用務職場での高所からの転落事故、刈払機などによる裂傷事故など多くの災害が報告されている。加えて、近年では現業職場における熱中症が大きな課題となっており、早急な対策を講じることが求められている。

また、新型コロナウイルス感染症の感染リスクと背中合わせで業務にあたる現業職場での感染防止対策は、職員だけでなく家族を守る観点からも非常に重要であり、クラスターによる業務停止を未然に防ぐためにも重要な課題だ。

こうした中、自治労の調査によると90%近い自治体で労働安全衛生法に基づく安全衛生委員会は設置されている一方で、労働安全衛生規則第23条に基づく毎月1回以上の安全衛生委員会の開催は25%にとどまる等、法令通りの安全衛生委員会の開催は不十分であることが明らかとなっている。

労災一掃のための具体的課題

各自治体の現業職場における労働安全衛生体制を確立し、労働災害を一掃する取り組みを強化するため、各職場の業務実態に合わせて下記の具体的課題に取り組もう。すべての職場での@職場点検活動の実施。A安全衛生委員会の開催を要求し、職場点検・職場巡視の結果について報告および改善に向けた協議。B当局責任による労働災害撲滅に向けた職場集会の実施。C職員の健康チェックと作業前の安全体操の実施。D新型コロナウイルス感染症対策の徹底。

自治体職員は、地域住民が安心・安全な生活を送るための重要な業務を担っている。しかし自治体職員が安全に働き続けられる環境が確保されなければ地域住民に幸せを届けることはできない。いまだに多くの労働災害が発生している実態を踏まえ、今一度、すべての職場における労働安全衛生の重要性を労使で確認し、労働災害ゼロの実現にむけ、取り組みを強化する必要がある。

すべての職場からの労働災害を一掃するため取り組みを進めよう。

高年齢者の安全衛生を学ぶ

府本部労安学習会

photo

府本部は10月27日、京都テルサで2021年度労働安全衛生学習会を開催。6単組11人が参加した。

労働衛生コンサルタントの篠原耕一さん(京都労務トラスト代表)を講師に「職場における高年齢者の安全衛生」と題した講演を受けた。少子高齢化に伴い生産年齢人口が減り続ける状況を見据え、民間や公務における高年齢者層の働き方が変わりつつある。講師は「加齢に伴い心身機能が変化するとともに労働災害の発生状況も変わってくる。特に65歳以上では転倒や転落による死亡事故がそれまでの年代に比べ急激に増加する。加齢に伴う視野の変化やつま先の降下が原因とされ、転びにくい靴の選定が重要だ」と話した。

また「労働災害はモノとヒトのあるべき姿から逸脱することで発生する。身体機能を補う設備・装置の導入など職場の環境を整えることと、高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応が大切だ」と訴えた。

労働者自身が、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むことが必要。健康で長生きするために、「きょういく=今日行くところ」や「きょうよう=今日用事があること」が必要だとまとめた。

課題の学習と情報共有を

JI‐UP情報交換・交流会

photo

JI‐UP京都は9月17日、第15回情報交換・交流会をウィングス京都でZOOMを併用して開催した。冒頭、小檜山議長が「2労組で不当解雇が発生し、財政状況が厳しい京都市の委託事業の職場もある。JI‐UPに結集して困難な状況に立ち向かい難局を乗り越えよう」とあいさつ。

最初の講演は、府本部顧問弁護士の伊山正和弁護士による「コロナ禍の雇用問題について」。コロナが原因の休業は使用者側の責めに帰すべきで、労基法26条に基づく休業手当を支給することが定着しており、コロナを理由に整理解雇はできないという理屈だ。裁判例では「雇用調整助成金があるから整理解雇は不当」との判断が出ている。現在係争中の件は、使用者側は一旦従業員全員を解雇して元正社員のみ雇用条件を下げて再雇用したが、雇用調整助成金が継続している状況下で許容される整理解雇であるかどうかを争っている、と解説した。

続いて、闘争中の日本クリスチャンアカデミー労組と関西日仏学館労組が、解雇撤回にむけた取り組みを報告し、支援を呼びかけた。

次に、「京都市行財政改革計画と労組の取り組み」について、自治労京都市職の下村書記長が計画の概要を説明。京都市関連施設の総点検が含まれており、当該施設で働く職員の雇用問題が出てくることも予想される。情報を迅速に伝えるとともに、自治労京都市職の要求書に関連労組の要求を盛り込むなど、連携した取り組みを検討していくとした。

参加者から質問や意見も出され、今後もJI‐UP京都として課題の学習と情報共有を行い、連携した取り組みを進めていくことを確認した。

ミャンマーに民主主義を

国際連帯救援カンパ

photo

自治労の「国際連帯救援カンパ」は1991年に始まり、これまで難民救援や児童労働禁止のキャンペーン、途上国の子どもの生活と教育の支援などに活用してきた。

今年度は、「ミャンマーに民主主義を」をテーマに取り組んでいる。2021年2月1日に軍事クーデターが発生し、この7ヶ月の間に拷問死も含めて1051人の市民が殺害された。7962人が逮捕、うち6313人がいまだに未釈放のままだ。この他にも、1984人に逮捕状が出され、教員も含めて15万人以上の公務員が解雇され、避難民は23万人を超えるとも言われている。そのような中、今もなお公務員を筆頭に市民による不服従運動(CDM)が続いている。

自治労は、ミャンマーの看護師・助産師組合や清掃労働組合の仲間たちへの支援、民主化を求めて不服従運動に参加する労働者の生活支援、タイやインドとの国境沿いに避難している人々への人道支援として300万円を支出してきた。

しかし、ミャンマー国軍による市民への激しい弾圧は緩むことはなく、さらに新型コロナウイルス感染拡大が重なり、非常に厳しい状況が続いている。市民は軍に殺されるかもしれず、明日の食べ物がない中にありながら、長く軍事政権の支配に苦しんできたことへの強い思いから、自由を諦めず、民主主義を求めて闘いを続けている。

引き続き、ミャンマーの民主主義を求めて闘う市民、労働者を支援するために、各単組・組合員のみなさまには、心のこもったカンパへのご協力をお願いしたい。

『自治労きょうと』一覧に戻る